地域の人が集う場所。
緑地管理部

新しい発見、出会いを体験してほしい

 阪神園芸は特に公園や商業施設などの“賑わいの場”を創出することが多い。今回取材に訪れた「阪急西宮ガーデンズ」はその最たる場所だろう。西宮阪急、TOHOシネマズ、イズミヤを核に約260店舗を超えるショップが集う西日本最大級のショッピングセンターだ。そんな施設の4階にあるのが、阪神園芸が植栽管理をしている「スカイガーデン」。広場中心にある噴水を囲むように、色とりどりの花や木々が配された開放的な屋上庭園だ。
 「一年中花が咲いているように気を付けて作業しています。先日ちょうどお花を入れ替えたところで。今回はジニアやコスモスなど、秋の花を選んで植えさせてもらいました」。そうニコニコと話すのは緑地管理部の福日香留さん。同部門で2年ほど様々な現場で経験を積んで、この春から阪急西宮ガーデンズの担当責任者に抜擢された。「皆さんが知っている代表的な花を中心に、『こんなお花はじめて見た ! 』という珍しい花も入れています。この場所に来て新しい発見というか、そういう体験をしていただけたらいいなって思って」と話す。

地域に愛されている場所

 鳥のさえずりをBGMに、ひらひらと花壇を飛び回る蝶々。噴水では子どもたちがキャッキャと笑いながら水遊びを楽しんでいる。なんとも気持ちの良いロケーションに、商業施設の屋上にいることを忘れてしまいそうだ。
 「10時のオープンと同時にお客様がお越しくださるんです。夏場は小さなお子様がオムツ姿で噴水で水遊びしたり。『今年もきれいにバラが咲いたね』と声をかけてくださる常連の方もいらっしゃって、地域の方々に愛されている場所だなって思います」と福さん。ガーデンには季節の花に加えて、カリンやレモンなど、果実のなる木々も多数植えられている。「そこに見えるのはオリーブ。ちょうど今実がなっているところです。今年は新型コロナウイルス感染症の影響でできなかったんですが、毎年近くの幼稚園の園児さんが収穫にお越しになって、それを持ち帰って塩漬けをつくるイベントなんかもしてくださるんですよ。私は収穫のお手伝いだけなんですが、いつもお裾分けをちゃっかりいただいています」と笑う。

巡回して気になった箇所を、ガーデンキーパーさんと一緒に丁寧に手入れしていく

きれいだね、の一言が嬉しい

 商業施設の屋上のガーデンということもあり、荷重制限の関係から土の深さは50cm程度。台風など風の強い日には、根っこで自重を支えられずオリーブの木が倒れてしまうこともあったそう。生き物相手なため、突然調子が悪くなってしまう植物があったりと、日々のお手入れに加えて、巡回・点検は欠かせない。灌水設備は備わっているものの、猛暑が続く夏はそれだけでは追いつかず、手作業で水をあげることも多い。
 「お花ってはじめに植えた時は花も咲いてなくってちぃちゃいんですけど、お世話していくうちに少しずつ大きくなって…。最後にきれいに咲いてくれたときはとても嬉しい。それをお客様に『きれいだね』って言ってもらえると『よしっ!』って思いますね。頑張ってお世話してよかったなって」。
 “元気に育ってきれいに咲きますように”そんな気持ちを込めて、一つひとつ丁寧に手入れをしている様子を見て、愛情たっぷりに育てられたガーデンだからこそ、こんなに地域の人々に愛されるのだろうなと感じた。

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みどりに囲まれて働く、暮らす。
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緑化装飾部